こちらの記事では、受けられる医療行為という観点から介護付き有料老人ホームの選び方をまとめています。医師や看護職員、介護職員はそれぞれ老人ホームではどのような医療行為を提供できるのかも紹介していますので、施設を選択する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
「医療行為」とは、医師の医学的な判断や技術により行われる行為を指します。ただし、有料老人ホームには必ずしも医師が配置されているわけではなく、一部例外として介護職員による医療行為が認められているケースもあります。
介護職員が行える医療行為としては、体温測定や自動血圧測定器を使用した血圧測定など、日常生活におけるサポートが中心となっています。これらは医療系の免許がない介護職員でも老人ホームや在宅介護の際に処置を行えます。
施設に常駐している看護職員が行える医療行為は、例えば糖尿病の治療として血糖値を下げるホルモンであるインスリンを注射する「インスリン注射」があります。
そのほか、経口の栄養摂取が困難であり、かつ消化器官の機能も衰えている場合に心臓に近い静脈への点滴を通じて栄養を注入する「中心静脈栄養」や、痰が詰まることによる窒息を防ぐ「痰の吸引」などといったように、看護職員は専門的な医療行為に対応することが可能です。
介護職員が行える医療行為としては、日常生活の中でのサポートが中心となっています。例えば自動血圧測定器を使用した「血圧測定」や、絆創膏を貼る程度の「軽い傷の処置」、また一包化されている内服薬を飲むときの介助や目薬の点眼なども介護職員に認められた医療行為です。
また、「認定特定行為業務事業者」の認定を受けている介護福祉士の場合には、「喀痰吸引」と「経管栄養」の医療行為を行うことが認められています。
医療行為の中には、医師にしか認められていないものがあります。「診察及び経過観察」や「人工透析」、また「処方箋の発行」、「注射・点滴」、そして「応急処置」については医師にしか行えない医療行為であると定められています。
ただし病院で行われているような高い専門性を持つ医療行為については老人ホームでは受けられないため、特別な処置などを要するケースについては、病院・クリニックが施設内に併設されているところを選ぶという方法があります。
医療機関と提携している施設であれば、充実した医療ケアを提供できます。この点から、医療ケアが必要である場合には医療機関との提携が行われているかを確認することがポイントといえるでしょう。
また、老人ホームに入居するタイミングでは医療ケアが必要ない状態だったとしても、その後にケアが必要となるケースも考えられるため、あらかじめ医療機関との提携を行っている有料老人ホームを選択することがおすすめといえます。
上記で看護職員によって行える医療行為についてご紹介したとおり、看護職員がいる昼間は例えば痰の吸引や中心静脈栄養、インスリン注射などの処置を受けることが可能となっています。しかし、夜間における看護職員の配置は義務付けられていないために、看護職員がいない夜間は処置を受けられません。
以上から看護職員のみ行える医療行為の対象となる場合には、24時間看護職員が常駐している有料老人ホームを選ぶこともポイントのひとつであるといえるでしょう。
もし入居する有料老人ホームを選ぶ時点で必要とする医療行為がはっきりしている場合には、該当するサポートが受けられるかという観点で施設を選択することが必要となってきます。それぞれの有料老人ホームでどのような医療行為に対応しているのか、という点から施設を絞り込むようにしてください。
また必要とする医療行為が受けられる場合でも、前項でご紹介しているように24時間看護職員が常駐しているかどうかも確認しておきましょう。
老人ホームにおいては、提供できる医療行為やケアが定められており、さらに介護職員・看護職員・医師それぞれによって行える医療行為が異なります。有料老人ホームを選ぶ場合には、どのような医療行為が必要なのかをしっかりと把握した上で施設を選択しましょう。
また、医療サポートを必要とする場合には、医療体制が整った施設を選択することが大切です。ぜひこちらの記事で紹介しているポイントなどを参考にして、必要なサポートが受けられる施設を選んでください。